top of page

サッカーの懸け橋がモスタルにかかる!

  • sfp2000
  • 2015年1月20日
  • 読了時間: 4分

サッカー元日本代表のキャプテン、宮本恒靖さんがボスニア・ヘルツェゴビナの南部の街、モスタルにサッカーアカデミーを開設します。

FIFAマスターを取得された宮本さんは、ボスニア・ヘルツェゴビナで青少年世代を育成するサッカーアカデミーを開き、モスタル周辺に住むボシュニャック人、クロアチア人など多民族の子どもたちを集い、サッカーを通じて交流を図り、民族融和を目指します。

さて、モスタルについて、ここで簡単に紹介します。

モスタルは、ボスニア内戦の際に、当初ユーゴスラビアからの独立を阻止しようとするセルビア勢力と、独立を求めるイスラム系勢力(ボシュニャック人)とクロアチア系勢力との間で戦闘が始まりました。イスラム系とクロアチア系勢力は協力してセルビア勢力に対抗し、街から撤退させ、一時的に戦闘を終わらせました。しかし、モスタルの悲劇はここから始まります。共に手を取り合って戦ってきたイスラム系とクロアチア系が今度はモスタルの支配を目指して争いが始まり、武力衝突へと発展しました。

その際、街の中央を流れるネレトバ川を挟んで双方の戦闘は激しさを増し、かつて共に暮らしてきた人々が銃を向け合う日々を送ることとなりました。長期間にわたる戦闘を通じて、「モスタラッツ(モスタルっ子)」として誇りにしてきた街は廃墟と化しました。

この戦争の過程で、街の象徴であった文化遺産のスタリモスト(古い橋)は崩れ落ち、人々の心は深く傷つきました。

モスタルという街の名前の意味は「橋の番人」。人々が民族関係なく、「番人」としての誇りをもって守り続けてきたスタリモストは、戦争という愚かな行為によって失われたのでした。

戦後、スタリモストは世界中からの支援と寄付によってユネスコが中心となって再建プロジェクトが進み、今はイスラム建築の最高傑作といわれるその美しい半円形の橋をネレトバ川に映し、ユネスコの世界文化遺産となりました。

ところが、人々の心はそう簡単に再建されません。

モスタルは戦前、異民族同士の結婚が首都サラエヴォ同様に進み、多民族社会の理想ともいえる街でした。しかし、一部の愚かなならず者たちが私利私欲のために戦争を引き起こしたことで、人々の心は深く傷つけられました。そのため、モスタルでは未だに民族対立が根強く残っています。

特に、街の西側に住むクロアチア人と東側に住むボシュニャック人との対立は深刻で、学校も双方別の学校に通うことが一般的です。また、経済格差も広がっていることで、その対立はより一層深まってきています。

クロアチア系が住む西側はクロアチア本国や欧米やオーストラリアに住むクロアチア系移民からの支援でかなり発展を遂げ、道路が整備され、綺麗な建物やショッピングセンターが建ち並んでいます。それに対して、東側はというと、スタリモスト一帯の観光地帯を除いては、戦争の傷跡が生々しく残る建物が多く残り、道路も整備されないなど、経済的に西側の地域との差が目に見えて分かるほど再建が進まない状況です。

サッカー界でもモスタルの民族対立は深刻です。

モスタルはユーゴスラビア時代、トップリーグで活躍し多くのタイトルを獲得し、名選手を輩出した名門クラブがありました。

ヴェレジュ・モスタルです。

ヴェレジュはユーゴスラビア時代は地方の小さな街のサッカークラブでしたが、実力はユーゴスラビア全土に名が轟くものでした。特に足技に優れる選手が多く、ユースラビア代表選手もこのクラブから誕生しています。

ところが、ボスニア内戦後、街の西側にあったヴェレジュのホームスタジアムはクロアチア系のクラブのものになり、ヴェレジュは数々の伝統を紡いできたスタジアムを失いました。現在は、東側の町の外れにスタジアムを建設し、本拠地として戦っています。そのため、しばらくは1部と2部を行き来するクラブでした。

対して、クロアチア系のクラブであるジィリニスキー・モスタルはクロアチア本国や欧米やオーストラリア在住のクロアチア系移民からの豊富な資金で力をつけ、国内リーグを制するほどのクラブに急成長し、常にトップリーグの上位を争う名門チームになっています。

さほど大きくない街にもかかわらず、伝統あるヴェレジュ、新興のジィリニスキーというチームが争い合う状況となっています。

「ダービーだから面白い!」と考えてしまいますが、この街において、ヴェレジュとジィリニスキーが本当の意味での「ダービー」として価値を見出すには相当な時間が必要です。

このように、モスタルにおける民族対立は深刻で、かつて住んでいたセルビア人の人々も含めると民族間の交流を加速して、かつての理想ともいわれた街に戻れればと願いたくなります。

そんな中で、宮本さんは挑戦しようとしています。

多くの壁がこれから立ちはだかるかと思いますが、日本代表という私たち日本人の心を揺さぶってきたチームを率いてきたキャプテンシーで、モスタルの人々の顔に、眩しいくらいの笑顔の花を咲かせてほしいと思います。

詳しくはこちら→http://www.nfsbih.ba/bih/vijest.php?id=10604

こちらも→http://www.jica.go.jp/topics/news/2013/20140314_01.html

こちらも→http://number.bunshun.jp/articles/-/599126?page=3

こちらも→http://www.sankei.com/world/news/150107/wor1501070028-n1.html


 
 
 

コメント


  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square

We work with executives from:

​© 2023 by Susan Green Coaching.

Proudly created with Wix.com

  • w-facebook
  • Twitter Clean
  • w-googleplus
bottom of page